「LPICとLinuCってどう違うの?」
「どっちを受けるのがオススメ?」
この悩みを解決します。
Linuxを操作できるスキルがあることを証明できる資格は、「LPIC」「LinuC」の2種類があります。
昔はLPICだけだったのですが、2018年からLinuCが新しく出来ており、違いがよく分からないという方も多いんじゃないでしょうか。
この記事では、LPICとLinuCの違いについて解説していきます。
またこれから資格の取得を目指すなら、LPIC・LinuCのどっちを受けるのがオススメなのか、についても解説していきます。
これからインフラエンジニアを目指している方はぜひ参考にしてみてくださいね。
LPICとLinuCの違いは?【3つの観点で詳しく解説】
それではさっそく、LPIC・LinuCの違いについて解説していきます。
LPIC・LinuCを比較すると下の表の通り。
LPIC | LinuC | |
---|---|---|
運営会社 | LPI | LPI-Japan |
資格が有効な国 | 世界各国 | 日本 |
試験開始年 | 2001年~ | 2018年~ |
資格の種類 | 6種類 | 6種類 |
受験料 | 16,500円[税込] | 16,500円[税込] (システムアーキテクトのみ27,500円[税込]) |
受験方法 | ・テストセンターでの受験 ・オンラインでの受験 | ・テストセンターでの受験 ・オンラインでの受験 |
試験時間 | 90分 | 90分(試験後約5分のアンケート含む) |
合格後の有効期間 | 5年間 | 5年間 |
結論、LPIC・LinuCではそこまで大きな違いはありません。
少し違いがある部分は下の3つ。
- 運営会社 / 資格が有効な国
- 資格の種類 / 受験料
- 試験範囲
それぞれ詳しく解説していきますね。
違い①:運営会社 / 資格が有効な国
LPIC・LinuCの唯一大きく違う部分が、LPIC・LinuCでは運営会社が異なること。
LPICは、LPIが運営する世界各国で有効な資格試験です。
それに対してLinuCは、LPI-Japanと呼ばれるLPI日本支社が運営している資格で、日本だけで有効な資格試験となっています。
そのため、日本で働くのならどちらを受けても変わりませんが、グローバルな企業で働きたいならLPICの方が有効な資格です。
違い②:資格の種類
LPIC・LinuCの資格では、それぞれ下記の種類があります。
◆LPICの種類一覧
LPICの種類 | 受験料[税込] | 取得条件 |
---|---|---|
LPIC-1(LPICレベル1) | 16,500円 | ・「101試験」「102試験」の2つの試験に合格が必要 |
LPIC-2(LPICレベル2) | 16,500円 | ・LPIC-1を取得している必要あり ・「201試験」「202試験」の2つの試験に合格が必要 |
LPIC-3(LPICレベル3) Mixed Environments | 16,500円 | ・LPIC-2を取得している必要あり ・「300試験」に合格が必要 |
LPIC-3(LPICレベル3) Security | 16,500円 | ・LPIC-2を取得している必要あり ・「303試験」に合格が必要 |
LPIC-3(LPICレベル3) Virtualization and Containerization | 16,500円 | ・LPIC-2を取得している必要あり ・「305試験」に合格が必要 |
LPIC-3(LPICレベル3) High Availability and Storage Clusters | 16,500円 | ・LPIC-2を取得している必要あり ・「306試験」に合格が必要 |
◆LinuCの種類一覧
LinuCの種類 | 受験料[税込] | 取得条件 |
---|---|---|
LinuCレベル1 | 16,500円 | ・「101試験」「102試験」の2つの試験に合格が必要 |
LinuCレベル2 | 16,500円 | ・LinuCレベル1を取得している必要あり ・「201試験」「202試験」の2つの試験に合格が必要 |
LinuCレベル3 Mixed Environments | 16,500円 | ・LinuCレベル2を取得している必要あり ・「300試験」に合格が必要 |
LinuCレベル3 Security | 16,500円 | ・LinuCレベル2を取得している必要あり ・「303試験」に合格が必要 |
LinuCレベル3 High Availability and Storage Clusters | 16,500円 | ・LinuCレベル2を取得している必要あり ・「304試験」に合格が必要 |
LinuCシステムアーキテクト | 27,500円 | ・LinuCレベル2を取得している必要あり ・「SA01試験」「SA02試験」の2つの試験に合格が必要 |
LPIC・LinuC共にレベル1~3まで資格があり、上位レベルの資格を取得するためには下位レベルの資格を取得していることが条件になっています。
また、レベル1・2は基本的に差分は無く、どちらの資格であってもレベルごとにそれぞれ2種類の試験に合格するのが必要となっています。
LPIC・LinuCで唯一差分があるのが、レベル3の種類。
LPICではレベル3の資格が4種類あるのに対し、LinuCでは3種類だけとなっています。
その代わりにLinuCでは、システムの設計・開発・運用までをトータルで管理できるエンジニアを目指した「LinuCシステムアーキテクト」という試験が作られています。
違い③:試験範囲
次に、LPICとLinuCの試験範囲について比較してみます。
「レベル1」を例にすると、それぞれの試験で公開されている試験範囲は下の通り。
LPIC | LinuC | |
---|---|---|
101試験範囲 | ・ハードウェア設定の決定と構成 ・システムの起動 ・ランレベル/ブートターゲットの変更 ・ハードディスクのレイアウト設計 ・ブートマネージャーのインストール ・共有ライブラリの管理 ・Debian パッケージ管理 ・RPM とYUM パッケージ管理 ・仮想化のゲストOSとしてのLinux ・コマンドラインでの作業 ・フィルタを使用したテキストストリームの処理 ・基本的なファイル管理 ・ストリーム、パイプ、リダイレクトの使用 ・プロセスの作成、監視、終了 ・プロセス実行優先度の変更 ・正規表現を使用してのテキストファイル検索 ・ファイルの基本的な編集 ・パーティションとファイルシステムの作成 ・ファイルシステムの整合性の維持 ・ファイルシステムのマウントとアンマウント ・ファイルのパーミッションと所有権の管理 ・ハードリンクとシンボリックリンクの作成・変更 ・システムファイルの検索、適切なファイル配置 | ・Linuxのインストール、起動、接続、切断と停止 ・仮想マシン・コンテナの概念と利用 ・ブートプロセスとsystemd ・プロセスの生成、監視、終了 ・デスクトップ環境の利用 ・ファイルの所有者とパーミッション ・基本的なファイル管理の実行 ・ハードリンクとシンボリックリンク ・ファイルの配置と検索 ・コマンドラインの操作 ・フィルタを使ったテキストストリームの処理 ・ストリーム、パイプ、リダイレクトの使用 ・正規表現を使用したテキストファイルの検索 ・エディタを使った基本的なファイル編集の実行 ・apt コマンドによるパッケージ管理 ・Debianパッケージ管理 ・yumコマンドによるパッケージ管理 ・RPMパッケージ管理 ・ハードウェアの基礎知識と設定 ・ハードディスクのレイアウトとパーティション ・ファイルシステムの作成と管理、マウント |
102試験範囲 | ・シェル環境のカスタマイズと使用 ・簡単なスクリプトのカスタマイズ ・X11のインストールと設定 ・グラフィカルデスクトップ ・アクセシビリティ ・アカウントと関連システムファイルの管理 ・ジョブスケジューリングによる自動化 ・ローカリゼーションと国際化 ・システム時刻の管理 ・システムロギング ・メール転送エージェント(MTA)の基本 ・プリンタの管理と印刷 ・インターネットプロトコルの基礎 ・固定ネットワーク構成 ・基本的なネットワークのトラブルシューティング ・クライアント側のDNSの設定 ・セキュリティ管理タスクの実行 ・ホストのセキュリティ設定 ・暗号化によるデータの保護 | ・シェル環境のカスタマイズ ・シェルスクリプト ・インターネットプロトコルの基礎 ・基本的なネットワーク構成 ・基本的なネットワークの問題解決 ・クライアント側のDNS設定 ・アカウント管理 ・ジョブスケジューリング ・ローカライゼーションと国際化 ・システム時刻の管理 ・システムのログ ・メール配送エージェント(MTA)の基本 ・セキュリティ管理業務の実施 ・ホストのセキュリティ設定 ・暗号化によるデータの保護 ・クラウドセキュリティの基礎 ・オープンソースの概念とライセンス ・オープンソースのコミュニティとエコシステム |
それぞれで表現や順番が異なっているので分かりづらいかもしれませんが、101試験・102試験どちらもほとんどの分野が重複しており試験範囲にあまり差はありません。
後から作られたLinuCでは、LPICの出題範囲をベースに考えられているので差が出なかったというのもあるんでしょうね。
ただし、LinuCでは2020年に問題が改訂されており、今後必要とされるような「クラウド活用技術」「オープンソースに関する内容」などが追加で盛り込まれました。
また、その代わり、一部の範囲についてはあまり重要ではないとしてLinuCでは削除されているポイントもあります。
LPICとLinuCはどっちを受ける方が良い?
これからLinuxを勉強していきたいと思っている方の中にも、LPICとLinuCはどっちを受ける方が良いのか、悩んでいる方も多いと思います。
上で書いてきた通り試験範囲にはそこまで差は無いので、結論どちらを受けても問題ありません。
しいて言うと、LPIC・LinuCそれぞれでオススメな方は下の通り。
◆LPICがオススメな方
- グローバルな企業で活躍したい方
- 2018年9月以降にLPICを受験した方
◆LinuCがオススメな方
- 日本の企業で活躍したい
- より実践的なスキルを学びたい
LPICはグローバルに通用する資格。
これからグローバルな企業でも働きたいと思っている方なら、海外でも価値を理解してもらえるLPICを取得するのが良いです。
また、LinuCが出来た後も既にLPICを勉強し始めているという方もいるかもしれません。
そんな方は、今からLinuCに変更して勉強しなおす必要は無く、そのままLPICで上位レベルの取得を目指していけばOKです。
一方、日本の企業だけで働くことを考えているならLinuCを取得しても良いと思います。
上で書いた通り、LinuCではこれから役立つ「クラウド活用技術」「オープンソースに関する内容」が最近盛り込まれました。
また、試験を受けるにあたって、LPICは海外で作られた問題を和訳しているのでたまに問題の意図が分かりにくい部分があったりしますが、LinuCでは最初から日本語で問題が作られているのでそんなことはありません。
グローバルで働くことを考えず日本だけで働いていくならば、これから勉強を始めていきやすいのはLinuCだと思います。
LinuCが作られた経緯
参考までに、LinuCが作られた経緯についても簡単に紹介していきます。
もともとLPICでは試験の情報漏洩が問題になっていました。
海外の違法業者がLPIC試験問題を不正に流出させているようなケースもあり、日本からもそのサイトにアクセスできました。
情報漏洩についてはなかなか解決が難しく、日本独自の試験であるLinuCを作ることで、試験の信頼性やセキュリティを日本でコントロールできるようにしたのがLinuCを作った目的の一つです。
また、日本で求められるスキルを素早く試験に反映していくのも目的の一つ。
各国において各国でシェアの高いLinuxディストリビューションは異なったり、Linuxには地域性に違いがある場合もあります。
日本で求められる技術を盛り込んだ試験を日本で作成して素早く試験に反映していくことで、試験を最適化していくことを目指しています。
LPIC・LinuC取得をこれから目指す方にオススメの動画教材
まったくの初心者がこれからLPIC・LinuC合格に向けて勉強していくのに、WEBサイトや書籍で独学で勉強するのも良いですが、動画教材を上手く活用するのもオススメです。
いくつかある中でも私のオススメは、この講座。
- 学習時間:19時間
- 料金:9,800円
◆カリキュラム
セクション | 学習時間 |
---|---|
はじめに | 28分 |
導入編部分 | 1時間53分 |
1.01.1 Linuxのインストール、起動、接続、切断と停止(導入編の続き) | 28分 |
1.01.2 仮想マシン・コンテナの概念と利用 | 1時間7分 |
1.01.3 ブートプロセスとsystemd | 24分 |
1.01.4 プロセスの生成、監視、終了 | 28分 |
1.01.5 デスクトップ環境の利用 | 23分 |
1.02.1 ファイルの所有者とパーミッション | 41分 |
1.02.2 基本的なファイル管理の実行 | 36分 |
1.02.3 ハードリンクとシンボリックリンク | 21分 |
1.02.4 ファイルの配置と検索 | 22分 |
1.03.1 コマンドラインの操作 | 1時間4分 |
1.03.2 フィルタを使ったテキストストリームの処理 | 15分 |
1.03.3 ストリーム、パイプ、リダイレクトの使用 | 19分 |
1.03.4 正規表現を使用したテキストファイルの検索 | 18分 |
1.03.5 エディタを使った基本的なファイル編集の実行 | 18分 |
1.04.1 aptコマンドによるパッケージ管理 | 28分 |
1.04.2 Debianパッケージ管理 | 10分 |
1.04.3 yumコマンドによるパッケージ管理 | 12分 |
1.04.4 RPMパッケージ管理 | 8分 |
1.05.1 ハードウェアの基礎知識と設定 | 35分 |
1.05.2 ハードディスクのレイアウトとパーティション | 27分 |
1.05.3 ファイルシステムの作成と管理、マウント | 38分 |
1.06.1 シェル環境のカスタマイズ | 25分 |
1.06.2 シェルスクリプト | 51分 |
1.07.1 インターネットプロトコルの基礎 | 2時間12分 |
1.07.2 基本的なネットワーク構成 | 10分 |
1.07.3 基本的なネットワークの問題解決 | 23分 |
1.07.4 クライアント側のDNS設定 | 13分 |
1.08.1 アカウント設定 | 19分 |
1.08.2 ジョブスケジューリング | 12分 |
1.08.3 ローカライゼーションと国際化 | 15分 |
1.09.1 システム時刻の管理 | 27分 |
1.09.2 システムのログ | 26分 |
1.09.3 メール配送エージェント(MTA)の基本 | 5分 |
1.10.1 セキュリティの管理業務の実施 | 18分 |
1.10.2 ホストのセキュリティ設定 | 5分 |
1.10.3 暗号化によるデータの保護 | 3分 |
1.11.1 オープンソースの概念とライセンス | 23分 |
巻末資料(相談・復習・参考) | 4分 |
ボーナスセクション | 2分 |
◆Udemy 公式サイト
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LinuCの対策講座となっていますが、LPIC取得を目指している方でも内容はほぼ同じなので問題ありません。
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LPICとLinuCの違いは?どっちを受験すれば良い?まとめ
この記事では、LPICとLinuCの違いについて解説させていただきました。
LPIC・LinuCそれぞれの特徴は下の通り。
LPIC | LinuC | |
---|---|---|
運営会社 | LPI | LPI-Japan |
資格が有効な国 | 世界各国 | 日本 |
試験開始年 | 2001年~ | 2018年~ |
資格の種類 | 6種類 | 6種類 |
受験料 | 16,500円[税込] | 16,500円[税込] (システムアーキテクトのみ27,500円[税込]) |
受験方法 | ・テストセンターでの受験 ・オンラインでの受験 | ・テストセンターでの受験 ・オンラインでの受験 |
試験時間 | 90分 | 90分(試験後約5分のアンケート含む) |
合格後の有効期間 | 5年間 | 5年間 |
運営会社・資格が有効な国が違うということ以外は、LPIC・LinuCの違いはほぼありません。
今からLinuxを勉強していきたい方が、LPIC・LinuCどちらの取得を目指しても問題ありません。
LPIC・LinuCのどっちを受けるのがオススメなのか、しいて言うなら下記の通り。
◆LPICがオススメな方
- グローバルな企業で活躍したい方
- 2018年9月以降にLPICを受験した方
◆LinuCがオススメな方
- 日本の企業で活躍したい
- より実践的なスキルを学びたい
LPICはグローバルで通用する資格なので、グローバルな企業で働きたい方にはオススメ。
日本だけで働くなら、LinuCの方がオススメだと思います。
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